いくらでも魚はいる

感想文と旅行

2004年6月頃

ロンドンで最初の3ヶ月を過ごした後、ニューカッスルに行くまでの1ヶ月をポルトガルのEUROのために空けていた。宿が見つけられずにいたらリスボンにいる父の知人の家に泊めてもらえることになったものの、easyJetで取れたチケットはFaroという南の港町行きだけだった。イギリス以来初めての一人旅におびえていた私はバスを降りた瞬間を待ち構えていたおばあちゃんに勧められるままに宿を決めてしまい、試合の見れる場所を求めてうろついた。マリーナ沿いのひらけたところに大きなスクリーンが設置されていた。この時期、どこにでもこういうスクリーンがあって、毎晩広場やビーチでサッカーが見れるようになっていた。

デンマークスウェーデンの試合はもう後半で、デンマークがリードしていた。ここではたいして観ている人はいなかった。そのグループは最後まで抜き出た国がなく、同時進行中の試合の結果と合わせて上位2か国が決まる。もう1試合はイタリアが勝っていた。ところが終了ぎりぎりになって、スウェーデンが同点に追いついてしまった。ポイントで並ぶとゴールの少ないイタリアが3位になることがわかっていて、試合終了した瞬間にITALY OUT!と喜びの声が上がった。ドイツとイタリアが負けるとみんな喜ぶ。そのグループは北欧2か国が仲良く勝ち上がった。次の日すぐ電車に乗ってリスボンへ行ってしまったので、ファロの思い出はあの試合だけだ。イタリアがスウェーデンに負けてワールドカップに出れないニュースを見て思い出したこと。

(500)日のサマー (2009)

恋愛映画強化月間。アマゾンプライムではなぜか吹替しか無料で探せず、まあいいかと見始めたので正確ではないけど、この映画の中で2度言われている、失恋した友達などを慰めるよくある英語の言い回しがあって、このブログタイトルもそれからとっています。

there's plenty of fish in the sea.

言われる側にとってその時は最も相手を過大評価している時なので大抵響かないんだけど、後で振り返るとそれはとても真実。映画でも2度目に妹(この妹がとてもよい)からそう言われた時は主人公は少し回復していて、受け止め方が変化している。

 

すごくよくできている映画。自分が大人になってしまったのか、トムとサマーどちらの側にも寄ることなく、ニュートラルな気持ちで楽しめた。恋愛気分を楽しみながら「友達でいよう」という人はどこにでもいるけど、それをちょっと不思議なかわいい女の子に設定したのが一番秀逸。その不平等条約は結ぶべきじゃないというのが正解だが、トムにそこまでの経験値はない。サマーは言質を取られたくなくてそう言っているわけじゃなく、とても正直だし全然悪くないんだけど、トムの立場からしたらbitchと言いたくなる気持ちもわかる。気持ちよいスピードで話は流れ、画面を分割して"Expectation"と"Reality"が同時に進むホームパーティの場面なんてそうそう、こういう妄想するよねって笑ってしまう。最後に取り繕いようのないRealityがExpectationを飲み込んでいく見せ方も上手い。

最終的にトムはそれなりに仲間とうまくやっていた仕事を辞め、ずっと本当は挑戦したいと思っていたことをやってみるようになる。それがあくまでも失恋で自暴自棄になった結果として表れ、声高に成長を主張したりしないのがこの映画で最も好きなところだ。好きな相手は結局自分の鏡でしかなく、他人を変えることはできず、でも自分は変えられる。サマーもトムの影響を受けているからこそ、次の相手に「運命」を感じたはず。彼女の腕にトムが理想の街並みを描いていく場面はIKEAのデートと同じくらい良いシーンだし、私達はただ今そこにある幸せを感じればよいのであって、相手が誰であるかは問題じゃないということがラストでわかるようになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

I am the sea<ドルフィン・マン>(ネタバレ)

東京国際映画祭ジャック・マイヨールのドキュメンタリー。

嵐が近づき、閑散とした六本木ヒルズにて。

 

グラン・ブルー」でも相当浮世離れしたキャラクターとして描かれていたマイヨールだけれど、現実の世界でもまずいないような人生を送っている。

フロリダの水族館で大型哺乳類にえさをあげていた頃、ヒトとのコミュニケーションが著しく長けているイルカのクラウンに会って素潜りのスキルを伸ばすことに注力しはじめたマイヨールは子供を2人もうけていたりもするが、ラブアンドヘイトな仲だった妻と離婚したのちは「まさにノマドのように」世界を動きはじめる。伊勢海老の漁師をしたり、ハリウッド俳優のドライバーをしたりとその場でお金になる仕事で生計をたてながら素潜りの世界記録保持者にもなっていくので、そんな男がいたらもてないわけがなく、軽めのニュースで「マイヨール氏の好きなものは海・お金・女性です」みたいに紹介されたり。さらっと流されていたけど、マイヨールが別名で制作したという水中ポルノみたいな映画はなんなんだ。映画では2人の子供のインタビューもあって、ずっと音信不通だった娘と久しぶりに再会し、旅行に一緒に行くことになって娘さんはたいそう喜んだのに、行ってみたら父はガールフレンドも連れてきていてひどくショックを受けたという、いかにもありそうなエピソードも語られていた。自分の好きな人たちと一緒に旅行したら、みんなも楽しいと思ったんだろうな。その時のガールフレンドが彼の人生におけるベストパートナーで、しかし事故でマイヨールの目の前で死んでしまうなど、全てがドラマチックなんだけど、当時のマイヨールのつらい様子を話す友人が日本人だったりして、物語と現実を行きつ戻りつするような不思議さがある。

インドでヨガの呼吸法を習い(呼吸を止めても頭の中では呼吸している)、伊豆で禅の思想を教わる神出鬼没のマイヨールの生活は「人々の彼に対する好意を利用していた」とも説明され、ことさら美化もせず、バランスのとれた描き方になっていると思う。それでいて、若きフリーダイビングチャンピオンが何かを学ぼうと訪れるとわけもわからず浅瀬に毎日連れていかれる、みたいな少年漫画的エピソードがふっと入ってくる。フリーダイビングの神髄がその競技性とは乖離していくことへの考察。

グラン・ブルー」への不満や後年の鬱に関してはあまり時間をとらず、自殺したことをフランスのニュースは「海へ還ることを選択しました」と報じていた。最後に息子が現れ、ここは父に泳ぎを教わり遊んだ思い出の海だけど、それ以上に聖なる場所だから。わかるでしょう?とエルバ島の海に潜っていくと、そこにはジャックの墓がある。神話のような人生。

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 ナレーションは「グラン・ブルー」でジャックを演じたジャン・マルク・バール。

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 上映後に6分間VR体験みたいなイベントがあり、ヘッドフォンの数から観客が3グループに分かれて海の映像を観た。最初の1組目だったので終わってすぐ会場を出ると監督とジャンがいて、ここぞとばかりに記念写真。ジャックとは仲良かった、映画は有名になりすぎたことが嫌だったんだよと言ってました。

 

 

 

真夏の方程式 (2013)

西伊豆・大屋荘に泊まった際にダイビングインストラクターまさしからこの映画について言及があった。近くで撮影していたそうで、「出てくる海が南国じゃなくて本当に伊豆ってかんじ」であると聞いたことをいまさら思い出し、秋の存在感もなく冬に突入しようという2017年10月終わりにAmazonPrimeで視聴。

 

海の中がものすごくきれいだ。プロの仕事ってすばらしい。植物も動物もまぎれもなく伊豆で、その昏い雰囲気も表れているのに透明感があり、ずっと見ていたい。杏が長い手足をウェットスーツにつつんで素潜りしている姿も美しい。その演技も含めてこの映画では杏が一番良かった。やっぱり映像にするにはスキューバじゃなくてスキンの方がずっと絵になる。陸の風景もとてもきれいに映されていて、西伊豆には「夕日が美しい」ことを強調するポスターやパンフレットが多く、感性の乏しいわたしは今までぴんときていなかったんだけど、この映画ではちゃんと見事な夕日もさりげなく登場していて、地元の人間のように誇らしく思った。

 

一番よいのは福山雅治が子供とロケットを飛ばすシーン。ガラケーの小さい画面がちゃんと海面を下にして着水するかなあとも思うんだけど、1回でだめだったらできるまで飛ばせばいいよね。でもまるで魔法のようにうまくいく。実験の楽しさ。

 

物語は特筆すべきところはない。東野圭吾に感心したことは一度もないが、いつも通りの薄い話だ。あんなことで悲劇が生まれ、それに感動できるならば、よほどコミュニケーションが稚拙な人間関係の中に生きているのではないか。「物語る私たち」を観たほうがいい。伊豆を旅しているとその昭和的風景にいつも驚いてしまうんだけど、久しぶりの日本のミステリもまた昭和的で、進歩のなさにめまいがする。ただ映画としてはウェットな部分をだらだら描写せず、さらりと終わるので割とストレスなく見終わった。

 

 

 

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banana in my ear <ベイビー・ドライバー>

ララランド(未見)のような映画らしいとなんとなく思っていて、レイトショーで寝てしまうことを危惧したものの、冒頭から真っ赤なスバルで銀行に押し入ろうという男女が現れ、ほっとした。犯罪に手が染まらない話には集中することができないのです。

getaway driverのベイビーは常にサングラスで目をふさぎ、イヤホンで耳をふさぎ、会話は歌詞と映画の引用でなるべく多くをすまそうとしていて、つまり口もふさがれている。その世界に属している里親のジョーもまた口がきけず手話で会話するが、I'm not talking about meと2度にわたって言うように、彼らは自分のことを語れず、ベイビーが最も饒舌に話すのは「ジョーとして」録音を残す場面だ。この映画は過去に傷ついた若者にやさしい恋と結末がめぐってくるけれど、現実には自分の感情を語れない者にはそんな幸運は訪れない。

それはそれとして、2人がぎこちなくお互いを知ろうとするコインランドリーの場面は、最後にぐるぐる回っていた服がレコードに変わるところまで素敵だ。

この映画では絵に描いたようなアメリカンダイナーが出てきて、そこで働くヒロインの衣装もなんだか時代がかっている。しかし突然現れるピンクにデコったiPodのように、強盗の共犯者たちはあくまでも現代のキャラクター造形で、特にジェイミー・フォックスはどんどんエスカレートしていって、ひどい死に方をしそうだと誰もが思うだろうし、その通りになる。そういえば黒人やアジア系はろくな役が振られていない。最後のバディとの対決アクションは少し冗長。強盗を差配するケビン・スペイシーは最後までおいしい役で、その周辺のエピソードは笑えるものばかりなのもよい。郵便局に対するコメント。

そしてもちろん、全編を通してカーチェイスが惚れ惚れするほど素晴らしい。俯瞰で出てくるスパゲッティジャンクションも複雑すぎて胸が熱くなる。運転が超絶上手いという一点で主人公は最初から私たちに免罪されている。

 

あと、ベイビーが車を捨てて警察からアクロバティックに逃げるシーンはフリーランナーのようで(ここでもサングラスを盗む)、往年のトップギアBBCの車番組)の車とヒトが競争する回を思い出して懐かしくなった。同じような企画としてはイタリアからロンドンまでセスナと車で争う回もおすすめです。全然違うけど、高齢者向けの車を作ろうといって、自宅と郵便局とビンゴと友達の家にしか行けない車を作るのもよかった。たぶんAmazonPrimeで見れます。

 

 

 

 

 

 

オープンザゲート。<僕たちがやりました>

フィクションに完全犯罪は存在しない。

わたしたちがその罪を知っているからだ。

それは犯した時と同じ仮面を被って彼らを追い、逃げ切ることを許さない。

リンチに遭った友達の復讐として相手の学校に爆弾を仕掛けるという負け犬の発想から物語はスタートし、「そこそこの幸せ」というくだらないものを大事にしているトビオの友情は何度も試され、その度にあっけなく崩される。主人公たちの信頼関係の薄さや、それに気づいていながら結局その関係性に戻っていく姿が非常にリアルだ。犯行前にのんきに「スタンドバイミーみたい」と思ったり、ホームレスに弟子入りしたり、逮捕の危機でありながら最も思い悩むのが恋愛だったり。窪田正孝がとにかく上手くて、暗い話を軽々とみせながら、奈落の底に落ちる恐ろしさも実感させてくれる。今野もすばらしく、最後の一連のせりふなんてパイセンじゃなくて今野が喋ってるようにしか見えない。市橋は上手な役者に囲まれて最初そのつたなさが浮き出ていたけど、どんどんよくなって、思い返せば一番いい役だった。いくつもチャンスがありながら最後までトビオは救済に辿りつくことはできないままで、他者の目線を気にしすぎるとっても日本的な終わり方なんだけど、門を開けるのはいつでもできる、その手がかりはちゃんと描かれていて良かった。

 

 

Day10: おわり(モアルボアル→セブ→成田)

エレナはマラパスクアにバスで移動するのに7時に出る、私は15:30のフライトに間に合うように8時に出ようかなと言っていたので、7時過ぎに2人一緒に出発することになりました。リムは夜まで帰って来ないけど、全部開けっ放しで良いというので鍵は最初そうだったように部屋のドアノブにかけて玄関も閉めずに出る。いいのか。

セブ行きのバスはエアコン付きのがなかなか来ません。2台目のノンエアコンバスが来て見過ごそうとすると、いつもバス停にいるバス少年がエアコンはあと1時間くらい来ない!と妙に確信もって言い切るので、これに乗ることに。初めてのローカルバス。窓全部開いてるので風が顔面を直撃して意外に暑くはなかったですが、椅子がぺたんこだから徐々にお尻が痛くなりました。セブに近づくにつれてどんどん人が乗って来て満席。

日曜だからか思ったより早く到着してしまい、セブに着いた時まだ10:30。エレナがノースバスターミナルに行く前に両替しに行くというSMモールについていってみる。

モールではタクシーが着けてくれた所の近くで荷物が預けられる。空港に行くバス(25php)もあって便利です。ここでエレナと別れてしばしモールを物色。最上階のランチビュッフェと地下のフードコートが賑わっていました。お昼ごはんもゆっくり食べれたし、直接空港に行くより良かったです。

空港で750phpのターミナルフィーを払ったら、残りのペソはお土産を購入して割ときれいになくなった。チェックインカウンターの周辺はお店も座るところも少なく不便な様子でしたが、搭乗口付近は新しめのカフェやお土産屋さんが並んでいたので、早めにイミグレーションまでした方が良かったかな。

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今日全然写真撮らなかったのでビーチの写真でも。

したかったことができて、無事に帰って来れました。1日遅れだったけど日記書いたことも、いろいろ思い出せる効果がありました。行ってよかった!

 

自分メモ:

 

・フィリピンの海ではいつも見る生物がいつもと違って大きかった。

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それにみんな自己主張が激しい。かわいいフグがいて写真を撮りたかったのに、フグは他の魚につつかれて追い払われてしまった。海は暖かいけど、縄張り争いが大変。

・エアがすごくもった。水温が高く、流れに逆らってダッシュするような場面はなかったけど毎日プールで遠泳の練習して良かったと思う。2週間前にフリーダイバー講習受けたのも呼吸の意識が高まった。エレナとも話合ったし。

・ターシャやジンベエなど、珍しい生き物を見るのについお金をかけてしまうことがわかった。見せ方が適当だからその時はあんまり感動しないんだけど、後で写真見るとわりと満足。アジアは次はコモドドラゴンかな。お店で会ったイスラエル人のゲストがインドネシアでダイビングするのはsuper expensive だと言っていたのが気になる。